怖い「炎症」①
病気になったとき、よく「炎症」という言葉を聞きますよね。
とても馴染みのある言葉ですが、具体的に説明できる方は少ないようです。
炎症とは生体が傷害や有害な刺激を受けたときに起こす反応のことです。
炎症の炎症の5大徴候(ちょうこう)
傷害や刺激としては、外傷や熱などの物理的なものと、細菌やウイルスなどの生物学的なものなどがあります。
炎症の5大徴候(ちょうこう)は、発赤、熱感、腫脹、疼痛、機能障害をいいます。
★ 組織に急性炎症が起こると毛細血管は拡張し局所の血流が増加する(発赤・熱感の原因)
★ 拡張した血管からは血液成分の滲出が起こり、組織に浮腫が起こる(腫脹の原因)
★ 浮腫が起こると組織圧の上昇で局所は圧迫され、放出された化学伝達物質が「痛み受容体」を刺激する(疼痛の原因)。
★ 原因が除去されていなければ修復が追いつかないため、いつまで経っても完全な治癒には至らず、これらが合わさって機能障害の原因となっていく。
アレルギー性疾患も炎症が起きています
例えば、肺炎は、肺に入ってきた細菌やウイルスに抵抗するために炎症を起こす病気です。
今や「国民病」と呼ばれるアレルギー性疾患も、炎症が起きているのです。
花粉症や気管支ぜん息などのアレルギー発症の引き金を引くのは、私たちの皮膚や粘膜など全身の組織に広く分布するマスト細胞(肥満細胞)です。
花粉やダニ由来のタンパク質などアレルギーの原因物質(アレルゲンといいます)と反応したマスト細胞は、炎症を引き起こす化学伝達物質(ヒスタミン、ロイコトリエンなど)を放出して、周囲に炎症を引き起こします。
発現する症状は、化学伝達物質(ヒスタミン、ロイコトリエンなど)が放出される部位によって異なりますが、鼻水、眼の痒み、涙眼、息切れ、肌の乾燥は全て、マスト細胞が局所で反応している徴候です。
慢性炎症が病気を作り出す
炎症を、その経過によって大きく分類する場合、急性炎症と慢性炎症とに分けることができます。
すぐに治まり、経過が早い炎症のことを急性炎症。
その炎症の原因を取り除くのに時間がかかる場合の炎症や、長い間組織が傷害を受けている場合の炎症のことを慢性炎症といい、これは長い間持続します。
体内でじわじわとくすぶり続ける“慢性炎症”が様々な病気と大きく関わっていることが近年分かってきました。
ぜんそくやアトピー性皮膚炎などのアレルギー性疾患はもちろん、関節リウマチなどの自己免疫性疾患などは、発症して直ぐに死に至るような病気ではありませんが、長期間にわたってつらい症状が継続します。
最近の研究によって、これまで慢性炎症との関連についてはほとんど顧みられなかった病気でも、実は慢性炎症が関わっていることがわかってきました。
加齢とともに増加するがん、動脈硬化、肥満、アルツハイマー病などの種々の疾患、さらには老化そのものも、慢性的な炎症性の変化によって症状が進行するのではないかと考えられる証拠が見つかってきました。最初の内は症状として現れない慢性的な炎症性の変化が、種々の病気の要因となっている可能性があるのです。
炎症の原因と改善策
炎症は、外傷や熱などの物理的なものと、細菌やウイルスなものの他に、ストレス、食事、運動、腸内環境、歯周疾患、不眠症、ビタミンD欠乏など意外なものが原因となっています。
これらの原因のうち、だれもが気を付けているのに、ついついないがしろになりがちなものが「食事」です。
しかし、簡単に改善できるのも食事です。
では、具体的に
①マーガリン、ショートニング、加工食品、インスタント食品やファーストフードなどに含まれているトランス脂肪酸を避ける。
②糖質を摂りすぎない。
③小麦に含まれるグルテンは体にとって異物として認識され免疫系が暴走し始めるので控える。
④オメガ3脂肪酸とオメガ6脂肪酸のバランスをとる。
⑤抗酸化物質が多く含まれる野菜や果物をしっかり食べる。
⑥抗炎症作用のある生姜、玉ねぎ、ネギなどの薬味を摂る。
など。
特に怖いのは「酸化した油」です。
コンビニ弁当や、スナック菓子、インスタントラーメンなどには、「酸化した油」がたっぷり含まれているので、食べた後は、必ず抗酸化物質のビタミンE、ビタミンA、ビタミンDやコエンザイムQ10などを補うようにしましょう。
それから、炎症は、怒り、敵意、恐れ、罪悪感、鬱などの炎症的な感情による場合もあります。
実は心と体はとても密接につながっているんです。
「病は気から」と昔から言うように、心の持ち方を変えることは病気を癒す大きな一歩となり得ます。
なるべく前向きに考えるようにしてくださいね。
(石井)