東京栄養サミット2021

G7サミット」は仏、米、英、独、日、伊、加の7か国及び欧州連合(EU)の首脳が
参加して毎年開催される国際会議としてご存じだと思いますが、
では「栄養サミット」については?
きっと、今まであまりなじみがなかったものだと思います。

 

「栄養サミット」は、4年に一度、夏季オリンピックと並行して開催国で行われます。
ということで、2021年に夏季オリンピックを開催した日本の主催により、
127-8日に「東京栄養サミット2021」が開催されました。

オリンピックが、「スポーツを通じ、若者を教育することにより、平和でより良い世界の
構築に貢献する」ための祭典だとすると、「栄養サミット」は「栄養」に視点をあて、
世界がより健康で栄養的に改善された未来にしていくための会議といえるでしょう。

我が国からは、岸田文雄内閣総理大臣が、我が国の栄養関連の取組を述べつつ、
今後3年間で3,000億円、28億ドル以上の栄養に関する支援を行い、
ユニバーサル・ヘルス・カバレッジの達成等に貢献していくことを表明されました。

また、2日間のサミットにおいて、少なくとも、66か国及び20社の企業を含む
156のステークホルダーから331のコミットメント(それぞれの政策的・資金的意図表明)が
提出されるとともに、計270億ドル以上の栄養関連の資金拠出が表明されるなど、
過去の栄養サミットを上回る成果が得られました。

2日間の東京栄養サミットにおいて発表され議論された成果をとりまとめ、
東京栄養宣言(グローバルな成長のための栄養に関する東京コンパクト)が
発出されましたので、一部をご紹介いたします。

 

 東京栄養宣言
(グローバルな成長のための栄養に関する東京コンパクト)

世界中の誰もが健康で生産的な生活を送るためには良好な栄養が必要であり、
誰一人として取り残されてはならない。

栄養は個人の健康と福祉の基礎であるとともに、持続可能な開発と経済成長の基盤である。
良好な栄養への投資は、人々の健康を改善し、一人ひとりの可能性及び生産性を伸ばし、
国の経済発展を支える機会となる

栄養は人間開発にとって重要である一方、2030 年までに世界の栄養に関する目標を
達成するための道のりはまだ遠く、子どもの栄養不良は依然として危機的な割合にある。
地球上では、1 4900 万人以上の子どもが発育阻害に陥っており、2000 万人の乳児が
低体重
で生まれている。
子どもたちの死因の約半数が栄養不良に起因する一方、成人や若者、そして子どもの
過体重や肥満は記録的なレベルに増加している。世界の 20 億人が過体重又は肥満であり
(そのうち 70%が低・中所得国)、それは非感染性疾患を含む食事に関連する疾病の
リスクと関連している。
栄養不良は、開発の段階に関わらず、全ての国にとっての課題である。
多くの国は現在、低栄養、過体重及び肥満が混在する、少なくとも2種類の栄養不良の
「二重負荷」に苦しんでいる

 

新型コロナウイルス感染症のパンデミックの影響により公平性が一層の課題となっている。
パンデミックによって家計収入が減少し、栄養及び医療サービスの提供が中断し、
健康的で手頃な価格の食事の入手が困難となっていることから、
あらゆる形態の子どもの栄養不良が著しく増加している。
それらにより消耗症で苦しんでいる子供が 1360 万人増加していると言われている。
また、新型コロナウイルス感染症により低栄養となった推定 360 万人の子どもが
発育阻害に直面し、それにより生涯にわたって自身の可能性を制限される
こととなる。

 

さらに、食料システムは気候変動の悪影響に対し一層脆弱となり、
一方で地球温暖化の一因
となっている。
サプライチェーンの制限により、健康的な食品の価格は上昇している。
国連食料システムサミット (UNFSS)は、我々の地球を保護しつつ、
増加する人口を養うための持続可能で強靱な食料システムの必要性を強調した。

 

東京栄養サミットの開催は時宜を得たものである。
我々、東京栄養サミットの参加者は、栄養不良を終わらせるために更に努力し、
健康的な食事と栄養改善への公平なアクセス達成に向けて協力するために団結している。
政府、国際機関、民間企業、市民社会及び学術界などの幅広いステークホルダーや
多くのセクターが行動を加速させる必要がある。

 

我々は、世界保健総会の世界栄養目標 2025、国連「栄養のための行動の 10 年」
(2016-2025)及び持続可能な開発目標 (SDGs)達成に対する我々のコミットメントを
再確認する。
我々は、SDGsアジェンダの一部として 2030 年までにあらゆる形態の栄養不良を
終わらせるために、健康、食、強靱性、説明責任、財源の5つのテーマ別分野に
わたって栄養に関する更なる行動を取ることにコミット
する。

 

 

栄養が、ただ単に個人の健康を支えるだけでなく、経済成長の基盤となり、
国の経済発展を支えていく。
そして栄養を通して世界各国が手をつなぎ、紛争や気候変動の影響を
解決していく糸口としていく。

栄養には、本当にすごい力があるのです。私も、今回、改めてそれを確信する
機会となりました。

 

ニュートラジェンでは、創業当初より、
ニュートラデバイド=栄養格差の広がり、つまり食や栄養知識の有無によって
健康に格差が出る
ことを懸念し、だからこそ栄養の素晴らしさや大切さについて
情報を発信してまいりました。

この格差は、世代を超えて子から孫へと連鎖していく可能性があります。
健康だけでなく、一人ひとりの可能性と生産性にも格差が生まれ、
それが教育、経済にも格差を生むのです。

その連鎖を断ち切るためには、私たち自身が扇の要となる!!

つまり、まず自分自身が、日々の食事に気を付け、足りない栄養素を補給して
免疫力を高め、病気を予防し、健康な生活を目指す!!

その一人一人の日々の活動が、やがては世界的な問題を解決していくことに
つながっていくと私は信じています。

(石井)