①細胞から元気になるためには、ミトコンドリアが重要です。

私たちの身体は、細胞でできています。
細胞は、生き物の体を作っているもっとも小さな単位です。
成人の場合は、だいたい60兆個の細胞からできていて、細胞の種類は200種類もあり、大きさも形もさまざまです。

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ところで、もっとも大きな細胞と、もっとも小さな細胞は何かご存知ですか?
どちらも「いのち」に関わるものなんです。

もっとも大きな細胞は、卵子(卵細胞)で約200μm
もっとも小さな細胞は、精子 約2.5μm

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ただ、精子に関しては、しっぽの部分は入れずに頭部のみで考えた場合です。

最も大きな細胞と、最も小さな細胞とのお出会いで、生命が誕生するとは、生命の神秘を感じずにはいられませんよね。

 

 

大きさや形はまちまちでも、基本構造は同じです。
どれも、遺伝子をもった細胞質細胞膜からできています。

しかし例外はあります。
人間を含めた哺乳類の赤血球の細胞は、核を持っていません。
両生類(カエル)や鳥類(ニワトリ)の赤血球には核があります。

もともと哺乳類の赤血球にも核があったそうですが、脱核といって、進化の過程で核を失ってしまいました。

その理由は、同じ体積の血液で考えると、小さい赤血球がたくさんある方が、大きい赤血球より表面積が増えるので、一度にたくさんの酸素を運べます。
赤血球は動物の進化にともないどんどん小さくなって、ついに哺乳類では、より効率よく酸素を運べるように核さえもなくしてしまったのです。

 

では、次に細胞の基本的な構造について見てみましょう。

細胞の基本的な構造図
jin003細胞の内部には核と細胞質があり、それらは細胞膜(形質膜)でおおわれている。核は核膜でおおわれ、細胞の遺伝情報の伝達、タンパク質の合成などを制御する。細胞質には、リボソーム、ゴルジ装置(ゴルジ体)、ミトコンドリア、リソソーム(ライソゾーム)、小胞体、中心体などの細胞小器官がある

 

 

 

 

上の図の中にソーセージみないな、ゾウリムシみたいな形をしたものが見られますよね。

これはミトコンドリアと呼ばれるもので、私たちが生きて活動するうえで、無くてはならないものです。

このミトコンドリアは、たいへん小さな器官です。
図でみれば、あまり数が多そうにな見えないけれど、実はその数は、ひとつの細胞あたり、少ないもので数十個、多いものでは三千個以上もあるそうです。
細胞一個あたりで見れば小さなものでも、体全体で考えれば、非常に大きな数になりますよね。

もともと、ミトコンドリアは単独の生命体だったといわれています。
その証拠に、ミトコンドリア自身は独自のDNAを持っていて、そして一部のタンパク質を自前で合成し、まるで細胞内で細菌であるかのように振る舞っています。

では、このミトコンドリアを詳しく見てみましょう。
imagesPAGP1KS7ミトコンドリアは細長い楕円形で、ソーセージか芋虫のような形をしています。二重の膜に囲まれ、内側の膜にはクリステとよばれるヒダが付いています。ミトコンドリアの内部には酵素が溶け込んでいて、細胞の中に入った栄養素を分解します。このときに、酸素を使ってエネルギーを生み出すため、細胞内の発電所にたとえられています。

 

このミトコンドリアは、食事から摂取した糖や脂肪、アミノ酸などを、体内の細胞が使えるATP(アデノシン三リン酸)といわれるエネルギー源に変える役割を担っています。

私たちの身体では毎日、たくさんのATPがつくられ、消費されています。
物質を燃焼させると、水と二酸化炭素ができるのはわかりますね。実はこのとき、同時にATPもつくられています。

食物+酸素→水+二酸化炭素+ATP

 

このATPは、筋肉を動かしたり、体内の化学反応に必要な熱を生み出したり、細胞分裂により新しい細胞を生み出したりと、生きるために必要な代謝活動に使われます。
“生命エネルギー”という言い方をするとイメージしやすいかもしれません。

 

老化は誰にも訪れますが、これにはミトコンドリアが密接にかかわっているということが、最近の研究でわかってきました。
年齢を重ねることで、ミトコンドリアの数が減り、さらにひとつひとつのエネルギー生産量も減ってしまいます。
このため、私たちの体内のエネルギー量がどんどんと減り、不具合が生じます。たとえば、年齢を重ねると多くの人に共通して起こる現象に、疲れやすくなる、思うように体が動かない、ものが見えにくくなる、物忘れが多くなる等がありますが、これらは、生命エネルギーが減少したことで体の各部位が不具合を起こした結果としてあらわれるものです。

さらにミトコンドリアは、細胞の死や突然変異にも大きく関わっています。
ガンは遺伝子が突然変異し、異常増殖してしまうために起こりますが、この突然変異は年齢が若いうちにも、つねに起こっています。
それでもガンにならないのは、変異を修復したり、免疫細胞がまだガン細胞の少ないうちに食べてくれるから。
ガンを発病するのは、この修復機能や免疫機能がうまく働かなくなるからです。
そしてこれらの作用には、ミトコンドリアが作り出すエネルギーが必要です。

また、老人性認知症(痴呆症)は、脳細胞の死滅による脳の委縮が原因となっていますが、この細胞の死には、そこに含まれるミトコンドリアが一定数以下になることが主原因という研究結果が発表されています。

体内に無数にありながら目にすることのないミトコンドリア。
これを減少することなく、また常に活発に活動できるよう活性化しておくことが、健康長寿につながるのです。

ではどのようにすれば、ミトコンドリアが減少せず、常に活発にエネルギーを作り出すのでしょうか?

それは、次にお伝えしたいと思います。

(石井)